- 作者:ユヴァル・ノア・ハラリ
- 発売日: 2016/09/16
- メディア: Kindle版
数年前に世界中のベスト・セラーとなった「サピエンス全史」。
近代、相次ぐ新発見により、ヒトの進化の歩みは、「猿人→原人→旧人→新人」という単純なものではなく、現在分かっているだけでも20種以上の人類が、時には戦い、時には共存し、誕生と絶滅を繰り返してきたことが分かってきました。
最終的には、あらゆる人類を駆逐して、われわれ「ホモ・サピエンス(賢い人)」が生き残る訳ですが、例えば同時代に生息していたネアンデルタール人などと比べても、我々の祖先たちはおそろしく華奢で、ひ弱でした。にもかかわらず、われわれが生き残ることができた秘密とは、何だったんでしょうか?
実は、弱虫な「ホモ・サピエンス」最大の武器は、「うわさ話」ができるようになったこと…と言われています。難しい言い方をすると「認知革命」。
ある時期、脳の神経の突然変異によって、物事を一気に認知できるようになった僕らは、言語能力を発達させ、いろいろな情報を共有するようになります。そして、ライオンの群れの場所や、そこに生えている植物の毒などの現実の情報交換は、やがて、たわいもない世間話やうわさ話に変わっていきます。
「うわさ話」をバカにしてはいけません(笑)。
「ホモ・サピエンス」最大の武器は、うわさ話のような「ありえないことを信じられる」ことであり、そんな「虚構」を信じる能力は、やがて「宗教」や「国」といった巨大な「共通概念」を生み出していきます。このようなうわさ話を信じる能力は、例えば同じ時代を生きていたネアンデルタール人には存在せず、結果、彼らの集団は最後まで何千、何万となることは、決してありませんでした。
さて、ずいぶん遠回りしてしまいましたが、ここで言いたいことは……
「人間(ホモ・サピエンス)は、みんなで集まって、たわいもない話をすることで、全生態系のトップになったのだ」ということです(笑)。
友人や同僚とのたわいもない話。
一見、不必要に思えるうわさ話。
こんな、無意味なコミュニケーションこそが、人を人たらしめる、実は大きな要素だったのです(笑)
コロナ後の日常では、仕事帰りに飲みにはいかない…???
それは、もちろん、確かにあり得る話ですが、そんなに簡単に、数万年かけて作りだした「ホモ・サピエンス」たる最大の武器を手放すのか。無意味なコミュニケーションをやめた「ホモ・サピエンス」は、果たして、その社会を維持できるのか?
などと大げさなことを考えながら(笑)。
何はともあれ、そんなバカバカしい話ができる日常を心待ちにしております(笑)。
追伸、「サピエンス全史」は、その後、「農業革命」「科学革命」と続きますが、もう止まらない面白さです。未読の方は是非。