
ところで...。
当店では、常時70~80本程度の日本酒を常備しております。日替わりのメニュー表には、その中から厳選した約30本を記載しており、全体のバランスを見ながら、その日のメニューを作成していくことになります。ちなみに、意識するのは、下記のような項目です。
【地域】
青森の田酒から、佐賀の鍋島まで、できる限り特定の地域に偏らないようにすること。福島、栃木あたりは激戦区ですね。できれば四国と九州は、もう少し選んでいきたいです。
【価格】
コスパ最高の楽器正宗(450)から、大吟醸クラスの鍋島(600)まで。基本120MLで600円以内のものを選んでおります。丈径だけは特別に(700)。
【火入れ、生酒、生原酒】
これ特に、新酒の時期には偏りがちなんですが、やっぱり火入れして落ち着いた食中酒と、フレッシュな生酒、旨味のある生原酒を、バランスよく配置したいところです。できれば、うすにごりも欲しいところ。
【辛口】
以前ほどではないですが、やはり辛口好きな方は多いです。これと決めた辛口銘柄から浮気しない方もいらっしゃいますが、結構多いのは「辛口で違う種類のお酒を…」という方々です。日高見、阿部勘、上喜元、宝剣、浦霞と、同じ辛口でも、いろいろなバリエーションを用意します。本来香りがある鳳凰美田の辛口なども用意することで、より変化も楽しめます。
【季節感】
料理はもちろんですが、日本酒にも季節感が大事です。新酒、夏酒、ひやおろし、お燗と、それぞれの時期に合った楽しみ方を。今の時期ですと、松嶺の富士うすにごり、鶴齢夏の純米超辛口と、春の終わりから初夏にかけてのラインナップとなります。
【香り】
もともと、食中酒から日本酒を覚えたので、当店では、比較的弱いジャンルではあるのですが、やはり華やかなお酒ががお好きな方も多いので。鍋島のようなシャープな香り、風の森のようなピチピチとした味わい、東洋美人のような果実のような旨味など、同じ香りでもいろいろなバリエーションを意識します。
【純米、純米吟醸、純米大吟醸、アル添】
今回は大吟醸はありませんね。予算の都合で、なかなか取り扱いが難しくなっています(苦笑)。基本、純米酒がメインですが、楽器正宗を始め、アル添酒も少々(一応、2銘柄までと決めています)。メニューにはありませんが、菊正宗本醸造も欠かせません。
【新酒、古酒】
フレッシュな新酒もよいですが、やはり食中酒としては、搾ってからある程度の時間は置きたいものをメインにしたいです。お燗向けでは、3~5年くらいの熟成酒、10年近く経った古酒も何銘柄か。
【速醸、山廃、生酛】
今回で言えば、お燗するお酒も、速醸→天の戸、奈良萬、喜久酔、山廃→群馬泉、秋鹿、奥播磨、生酛→大七、睡龍となるべく偏らないように。何杯も杯を重ねられる銘柄をメインに、インパクトのある熟成酒でアクセントをつけるイメージで。
【飲み頃】
これ一番大事ですね。変化(劣化)の早い生酒は早めに消化したいですし、時には、スーパーではないですが、採算度外視の特別価格で(笑)。飲み頃が長く続きそう…というお酒は、時には、メニューから外さなければなりませんし。提供したい銘柄と、提供しなければしけない銘柄で悩むときもあります(笑)。
以上、思いの他、長くダラダラとした文章になってしまいました(笑)。
こうしてみると、面倒くさい作業に感じてしまいますが、慣れれば、そこまで時間はかかりませんし、どちらかというと、野球チームのオーダーを組むような、楽しい時間でもあるのです。「不動の四番」「安定のリードオフマン」「新人を抜擢」などなど、まるで監督なったつもりで、楽しくメニューを組む毎日です。