東日本大震災


3月11日。
あの震災から、早くも5年の歳月が経ちました。
普段、以前のブログを読み返すことはあまりないのですが、今回、久しぶりに当時のものを。

東日本大震災から、はや一か月。

その間ブログの更新は、すっかり止まってしまいました。

たぶん、以前書いていたような個人のブログでしたら、毎日毎日の気持ちの変化をつづっていけることができたのでしょうが、仮にも(まあ、とてもゆるいものとは言え)、「公」としての意見をつづるには、今回の出来事は、あまりにも大きすぎ、また近すぎたように感じます。


地震が起こった時間は、僕らは12階の自宅で休憩中。

幸い、家族みんな大きな怪我などはありませんでしたが、自宅はグチャグチャ。本棚は、目の前で崩壊し(倒れ、ではなく、苦笑)、嫁と二人、正直、これは死んだかなぁ〜とも、逆に冷静に思ったものです。


「被災されました方々には、心よりお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興を心より祈念いたします。」という言葉が、果たして適切なのか?いろいろな方が、その時の気持ちをブログなどで表現していましたが、日々、それどころが刻一刻と変わっていく被災地の情報に対し、数時間前に書いたコメントが本当に正しいものだという自信が、全く持てなかったものです。


例えば、プロ野球セ・リーグの開幕時期のコメント。今考えても常識外れでしたが、逆に、花火大会や朝顔市の自粛などは、今となっては賛否両論あるでしょう。酒蔵の支援についても、行方不明が数万人いるときに持ち出すは、果たして正しいことなのか…などなど。


何か、すべての言葉が、薄っぺらいような気がして、どうにも筆が進みませんでしたが…。


震災から一か月。
どうやら、僕らにできることが少しずつ見えてきましたし(逆にできないことも分かり始めましたが)、まあ、そろそろ僕らの日常に戻る準備をしていく頃なのかなぁと思います。


それは決して、東北の方たちのことを忘れていくことではなく、これから5年10年単位で始まる復興を、より長いスパンで、より効率的に進めるためには、僕らは日常(それが今までとは違う日常だとしても)を取り戻していく必要があるという事実に、みんなが気付き始めたということでしょう。


「酒のはしもと」さんから、震災後に頂いたFAXに、「私たち酒屋や飲食店は、常に街の明かりでなければいけない」という言葉がありました。お笑い芸人さんなども悩んでいますが、確かに、人の生き死にの話をしているときに、お酒の話…と思う人もいるかもしれません。それでも、お酒が持つ力、そしてお酒を縁に人々の笑顔が持つ力は、決して、否定できないとも思っています。

読み返してみると、当時の気持ちが、少しずつ思い出されてきます(というより、忘れていた感情が多いことに驚かされます)。ニュースの特番を見ても、動かない心の記憶が、やはり自分の書いた文章だけに、ずいぶん呼び起こされたようです。

今の復興への感想を書くと、どうしても政治的な話になってしまいますし、それをここで書くことは、あまり意味のないことでしょう。まだ僕らにやれることがあることを信じ、実際に動くことが大事だと、今、改めて思っています。
写真は「磐城壽」。とりあえずは、単純に味を楽しんでください。