白筍のお話、その2


さて、美味しい筍を収穫するためには、いろいろな要素がありますが、まず、一番の誤解は、「筍は、その辺の竹やぶに生えているものを獲る」ということです(笑)。もちろん、それは、ある意味全く正しいことなんですが、筍を栽培している農家さんは、文字通り、1年かけて一生懸命筍を「育てて」います。


土は、前回も話した通り、酸性白土(火山灰ではく、粘土質の土壌)が適しているといわれ、水持ちが良く、土からの養分が安定して植物に供給され、またそのミネラル分が、アクのない、甘みのある筍を作るそうです。ただし、重要なのは、そのあと。その土壌を柔らかく掘り起こし、絡み合った根は伐採し、余分な竹を減らしてまわりに光を当てるなどの、気の遠くなるような管理を、しっかりと行っていくことです。



一年中、やること一杯だそうです。
これは大変。


そうしてできた筍を、土に顔を出さないうちに収穫(土から出た瞬間に「竹」になっていくため)。
これも簡単そうに言いますが、地面の微妙な起伏だけで筍を見つける名人の眼と、まだ小さな筍を鍬で傷つけずに掘り起こす技術などなど…。しかも獲れる筍は、地上に出たものよりも小さい訳ですから、本当にしっかりとした思いがなければ、続かない収穫方法ですね。


この食材は、いい出会いでした。
残念ながら、今年は実際にお会いすることができなかったのですが、来年はぜひ、お話を聞きたいものです。