遊穂 山おろし

せっかくなので、うちの定番ラインナップであります「遊穂 山おろし純米」のご説明を。
「生酛ってどんなお酒?」というところから始めると、かなり話が長くなってしまいますので、今日はそのあたりはほぼ割愛。ちょっとマニアックなお話なので、興味のない方はとばして下さいね(笑)。

さて、生酛と山廃系の日本酒は、発酵の過程で人工的な乳酸を投入せず、空気中にいる天然の乳酸菌をタンクに呼び込む手法をとっています。どちらも、そうした昔ながらの方法で、時間をかけ、旨みのある日本酒を造っている訳ですが、その中で、酒母の原料(蒸米と麹米、水)を混ぜ合わせる際に、米をすり潰す「山卸し=酛すり」という工程を組み込んだものを「生酛」、工程を省いたものを「山廃(山卸し廃止)」と区別しています。


さて、遊穂では、基本的には山卸作業をやっていない(=山廃)のですが、実際問題としては、山卸作業を完全に廃止して、お酒を作ることは難しいそうで(酵素の力だけでは完全に溶けない)、電動ドリルを使って簡易的なすりつぶし作業をしています。すなわち、山卸しはするものの、人力ではなく電力で、というわけです。ちなみに、この手法を開発したのが秋田県の酒蔵で、秋田流生酛とも呼ばれています。

 
となると、この遊穂の山おろしは、「山卸し」をしているわけですから「生酛」ということになりますが(ややこしい、笑)、御祖酒造の横道杜氏は「昔からの伝統的な生酛造りではないので、生酛と表示するのははばかられる」と、あえて「山おろし」と表示することにしたそうです(これはこれでややこしい、笑)。

 
ということで、結論。
遊穂 山おろし」は、ほぼ「山廃」。少し電動ドリルで「山卸し(=秋田流生酛)」。


とりあえず、飲んでみて下さい(笑)。