原点

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日々、進化を続ける日本酒。

もちろん、いい意味で…のつもりで書いているのですが、この早すぎる変化に、ちょっとチクリとした不安を感じるのは、僕が、そろそろオジサンになってきたからんでしょうね(笑)。

 

日本酒に「酸」という概念が生まれたことで、辛口一辺倒だった日本酒の世界は大きく変わろうとしています。東京農大出身の若手達が、情報交換しながら、切磋琢磨していくことで、ほんの数年の酒造り経験で、驚くべき美味しい日本酒を造ることが可能になってきています。

 

情熱ある人たちが、科学的に酒造りにアプローチしていくことに、もちろん不満があるわけではないのですし、実際、10年前に比べて、あきらかに平均的な日本酒は美味しくなっています。

 

ただ、一方で、昔ながらの、下積みからの時間を経ずに技術を身に着けてしまったために、一番重要な、どんなお酒を造りたいか…という、そもそもの酒造りの根本を見失っているのではないかなぁ…という不安もあります。

 

結果的に、売れている蔵の、似たような味わいのお酒だらけになってしまうような…。例えば、「新政」のヒットが、その酒の「本質」を真似るのではなく、甘酸っぱい味わい、可愛いラベル、やや低いアルコールなどなど、本当に結果として見える「現象」を真似た、模造品を生み出しているような気がしてなりません。

 

なんか、珍しく否定的な文章になってしまいました(苦笑)。

いや、本当に日本酒全体が、美味しくなっていることは間違いないので、方向性は間違っていないはずなんですが。

 

う~ん。

 

こうして、ちょっと迷ったときは、日本酒を覚えて、最初に感動した一本に戻ることにしています。15年前、「山中酒の店」で覚えた最初の一本。日本酒は、料理に寄り添うべき…と教えてくれた一本でもあります。

 

「東北泉 純米吟醸

 

当時は、「特別純米」の表記でしたね。

今よりは、ややミルキーな記憶がありますが、「酸」を出さない…という確固たるポリシーが、お刺身や出汁のきいた料理など、穏やかな和食に寄り添っておりました。

 

繰り返しますが、個人的には「酸」が大好きなんです(笑)。

 

それでも「原点」は、やっぱり、料理に寄り添う…です。