今年の一本

f:id:iriya-wabisuke:20201116142657j:plain

ちょっと早いですが、毎年恒例の「今年の1本」をば。なぜ、この微妙な時期かといいますと、残りあと1本なので(笑)。年末年始に決めると、だいたいは、発表したもののすでに在庫はなし…というケースが多いのですが、せっかくですから、実際に飲めた方がいいですよね。

 

さて、その味わいですが、蔵元の杉本酒造さんHPの説明が、とても上手くて、ひやおろしについても分かりやすい文章でしたので、ちょっと長いですが引用させて頂きます。 

江戸、明治の頃の酒は、精白がかなり低く、木桶を使った生もと仕込みでした。衛生環境も悪かったので出来た酒は酸度が高く、木桶や酒袋のクセや乳酸菌による香りがあり、新酒の時は香味が粗く飲みにくかったと思われます。それが土蔵でひと夏を越して朝の空気がひんやりする頃になると熟成によるフレーバーで味と香りに深みが増し、まろやかさが増しておいしくなったと思われます。

 

現在の日本酒は、新酒の時から、昔のような欠点は無く、やわらかで飲みやすいのが特徴です。逆に吟醸香のように熟成で減少してしまう成分を多く含んでおり、老香は敬遠される事が多いので低温貯蔵で酒を若く保つ事が主流になっています。

 

「杉錦生もと純米ひやおろし」は70%精米の一般米を使った生もと純米酒です。特に酸度を強調するような造り方はせず、一般的な仕込み方法で造りました。現代の酒としては少し酸味があり、素朴な味わいです。きれいさや軽さを優先する現代的な本醸造や高精白の純米酒とくらべると、熟成による独特のコクとフレーバーがあります。この点は、昔の時代の冷おろしと同じく、この酒の特徴です。

冷酒でもいいですし、燗にも向きます。秋の商材としてよろしくお願いいたします。

本当、とても分かりやすい。勉強になります(笑)。

 

三ノ輪にある「鈴木酒販」さんの角打ちにて試飲してそのまま購入したのですが、ラベルもやや微妙ですし(失礼、笑)、これこそ店頭に並んでいただけでは、まず買わなかった一本ですね。よく、「すべて試飲しているんですか?」などと聞かれますが、さすがに全く味の分からない銘柄を買うことは、ほとんどありません。角打ちで有名な「鈴木酒販」さんならでは買い物でした。