長珍ひやおろし

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ひさしぶりの「長珍」は、新聞紙ではなく、秋の茶紙バージョン。ひと夏の熟成後、原酒のまま、1本1本瓶に直汲みした「ひやおろし原酒」です。思いのほか、まろやかに熟しており、冷酒から、常温、お燗と多彩な楽しみ方ができそうです。

 

「思いのほか」と書いたのは、通常の「長珍」は、この時期は、もう少し硬いのかなぁ~、とイメージがあったためなんですが、今回の一本、ほどよい上質な渋味は残しながらも、ちょうどよい飲み頃になっています。

 

この「長珍」、大阪時代、僕が「山中酒の店」にお世話になるきっかけとなったお酒でもありまして。

 

当時、大阪の辻調理学校卒業後の職場を探していた僕は、縁あって、「山中酒の店」主催の「長珍の会」に参加することになりました。今でこそ、蔵元さんも参加して、その蔵のお酒と、それに合わせた料理を提供するといったイベントは多々ありますが、20年前は、まだまだ、日本酒のマリアージュは珍しかった時代。日本酒のつまみといえば、とりあえず刺身や塩辛でも…というのが一般的で、生酒、火入れ、熟成酒、お燗と、いろいろな料理に、日本酒を合わせて楽しむという経験に、心から驚いた記憶があります。

 

その後、社長にお願いして入社させていただき、3年半の修業を経て帰京する訳ですが、もしあの会に参加していなかったら、もしかしたら、「山中酒の店」にお世話になることもなかったかもしれないと思うと、何やら不思議な気分になってしまいます(笑)。

 

サンマも少しずつ大きくなってきましたし。いよいよ、ひやおろしの季節、真っただ中ですね(笑)。