趣味の定義

仕事柄、僕らの周りには「自分の趣味は日本酒です」という人々がたくさんいます。もちろん僕も、別に仕事だから、いやいや日本酒を扱っているわけではなく、お休みのときも、他の日本酒のお店に行ったり、蔵にお邪魔したり、日本酒イベントに参加したりしている訳ですから、なるほど、趣味は日本酒なんでしょう。

 

とはいえ、「趣味が日本酒」という言い方は、音楽鑑賞が趣味…とか、テニスをするのが趣味…などと比べると、何か、ちょっと違う気もします。そもそも「趣味」の定義自体曖昧です。

 

なんてことを、常々思っていたところに、ストンと落ちる一文を発見。

「読みたいことを、書けばいい」(田中泰延/ダイヤモンド社)からです。

 

趣味とは「手段が目的にすりかわったこと」

あ~。なるほど。

切手を収集する人、高価な釣竿を何十本も集める人。誰から見ても「趣味」である。しかし本来、切手は郵便料金分の額面を貼ればよいし、魚を釣るためには、極論すると折れさえしない限り棒が一本あれば足りるのである。

 

「郵便を届ける」「魚を釣る」というのは目的である。それに対して「切手」「釣竿」は手段に過ぎない。だが、それらを収集する愛好家にとっては、手段であるはずのものを必要以上に購入し、陳列し、愛でたり撫でたりさすったりすることが目的化しているのである。それこそが「趣味」であり、こう定義することで正体がはっきりする。

 

「酔う」という目的にのために飲むアルコールが、何かもう、酔う酔わないは、特に重要でない。美味しい日本酒を飲む、という行為そのものが重要である。

そう考えると、「趣味が日本酒」という方たちの共通のイメージが湧いてきて、非常にすっきりとしてきました。

 

とはいえ、楽しく酔っぱらうことを目的にする日があっても、もちろん大歓迎ですよ。いろいろな日本酒をゆっくりと飲むもよし、気の置けない友人たちと、お酒の種類は気にせず、楽しく酔っぱらうもよし、それが居酒屋ですよね(笑)。