日本酒のブレンド

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この2本、ブレンドされた日本酒です(笑)。どちらも本当に良い出来栄え。

兵庫県の「竹林 純米酒かまり」は、全体の5%程度、3年~8年前の古酒を加えることで深みをだしていますし、同様に、もう一本の「山形正宗 お燗純米」も、新しい製法で醸したやや華やかな乳酸系の味わいに、平成26年の古酒を加えて、お燗映えする落ち着きをだしています。

 

ところで、一言に「ブレンド」と言っても、日本酒の場合、明確な定義がありません。

 

そもそも、出来上がった日本酒は、その搾り始めてからの時間により、最初のフレッシュ・ジューシーな「荒走り」、その後の穏やかな「中取り」などを、少しずつ味わいが異なりますので(ビールでいう「一番搾り」みたいなものですね、ビールで言う一番搾りは、中取りに近いですが)、これらを上手に混ぜ合わせながら、均等な味わいに仕上げていきます。ある意味これもブレンドと言えるかもしれません。

 

また、熟成により味わいが大きく変化しますので、年度の違うものを半分ずつ組み合わせたり、前記の通り、出来上がったお酒に、アクセントとして数%程度の古酒を加えることもあります。実は、ウィスキーなどの「12年もの」も、12年前の味わいをブレンドで表現するという意味です(ただし、一番新しいものでも12年前のものを使用するのが約束です)。

 

ちょっと賛否はありますが、ご自宅でいろいろなお酒をブレンドする方もいますし、また、このコロナ下で、それぞれの蔵がお酒を出し合って、コラボのような形でひとつの銘柄を作ることも増えているようです。

 

このコロナの逆境を逆手にとって、昔の桶買い(いろいろな蔵の日本酒を混ぜて作ること)や前年の売れ残りを混ぜる…といった負のイメージを払拭して、新しい日本酒の可能性が広がれば、本当に素晴らしいんですが(笑)。