日本酒テロワール ~その2

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一方で、それぞれの米ごとの醸造技術が日々進化したこと、定番の「山田錦」が「獺祭」の好調もあり手に入りづらくなったこと、蔵人を年間雇用するために夏場の時期に米を作る蔵が増えたこと…などなど、いろいろな理由から、お米を遠方から仕入れるのではなく、地元のお米を使って日本酒を造ろうという機運は、日増しに強くなってきました。

 

ワインなどで言う、土地の特性が味を決める…という意味の「テロワール」とは厳密に言えば意味が異なりますが、その土地のお米、お水、その土地の個性を存分に使った日本酒という意味では、やっぱり分かり易いストーリーもありますし(笑)。

 

ちなみに写真は、愛知県・岡崎市の「二兎」。そんな「テロワール」を実践中の蔵で、地元岡崎で、復活栽培された「萬歳」という品種を使用した銘柄を販売し始めました。

 

「萬歳米」は、100年ほど前、明治天皇への献納の記録も残る古い品種ですが、その後栽培が途絶えていました。しかし、平成20年、地元の農家が、県農業総合試験場から種もみ10gを譲り受け、試験的な栽培を再開。その後、本格的な復刻に取り組み、平成 26 年には、なんと玄米 2,400kg を収穫しました。正式な酒造適合米ではありませんが、「雄町」などにも負けない立派な心白をもつ、大きなポテンシャルを持つお米です。

 

できたお酒は、冷酒でサッパリ、常温でゆっくりと、様々な温度帯で楽しめる、おもしろい一本に仕上がっています。

 

夏子の酒」を見ていた世代には、「復刻米」と聞いただけで、ちょっと気合が入ります(笑)。どんどん進化する、ワインと違う、「日本酒テロワール」。これからも楽しみにしていきたいですね。