冷蔵、冷凍での熟成について

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2度目の緊急事態宣言による休業のため、現在、当店の冷蔵庫の中では、何十本もの日本酒が保管されています。昨年の4月とは異なり、今回は結構早い時期から「これはまた、宣言がでるだろうな」と予想が付きましたので、昨年末より、計画的に開封する日本酒の数をコントロールしてきましたが、それでも結構な本数の日本酒が、これから数週間、数カ月と保管されることになります。

 

ちなみに、現在の保管温度は、営業中よりも低い「0℃」。まさか、こんな長期間の休業は予想していませんでしたので、これが設定上、一番低い温度となります。

 

ところで、温度「0℃」では、日本酒は凍りません。「0℃」というのは、あくまで水の凝固点であって、純アルコール(エチルアルコール100%)が凍る温度は-114.5度となり、一般的には、アルコール度数にマイナスをつけた温度くらいで凍ると言われています。5度のビールは「―5℃」、17度の日本酒なら「-17℃」ということです。

 

ちなみに、日本酒では、中の酵素が働いて、味わいがどんどん変化していきますが(別に劣化するという意味ではなくて、あくまで変化です)、その酵素が動けなる温度は、「-2℃」くらいから。さらに「-4.5℃」より温度が下回ると、全く活動できなくなるようです。

 

それでは、「-2℃」を下回ると、味の変化が全くなくなるかというと、そうでもなくて、甘み、旨味、渋味、酸味などのそれぞれの味わいは、少しずつ調和し始め、新酒にはない、独特のコクやまろやかさが生まれてきます。

 

そういう意味では、この「0℃」(少しずつではあるが味わいの変化が進む)、「-2℃」(酵素の働きは止まるが熟成は少しずつ進む)、「-4℃」(かなり元の味わいを保つ)の温度の差は、たかが「2℃」の違いですが、結構大きな熟成のコンセプトの違いなのかもしれませんね。

 

ということで、当店の冷蔵庫の温度、現在「0℃」。

 

さて、再開の日には、それぞれ、どんな味わいになっていることでしょうか(笑)。